日本にはアオバトと呼ばれる緑色をした美しい野鳥がいます。彼らは日本でしか繁殖が確認されていない日本特産種ですが、一風変わった習性を持ちます。
その習性とは、「海水を飲む」ことです。
普段は林に生息しているのに、夏になるとわざわざ遠出をして海まで行くのです。一体なぜでしょうか。その理由を解説します。
アオバトが海水を飲む理由とは
アオバトは夏(5~9月)になると海水を飲むために林から出て海へと向かいます。
その道中は危険で溢れています。海辺は隠れるところが少ないため、猛禽類に襲われて命を落とすアオバトも少なくありません。また、波に攫われて溺れてしまう鳥もいます。
そこまでの危険を冒して海水を飲みに来る理由ですが、実はまだ解明されていません。なので、ここでは有力だと思われている説をご紹介します。
ナトリウムの補給
アオバトはヤマザクラの実やクワの実などの果実を主食としていますが、これらの果実に塩分はほとんど含まれないため、それを補うために飲んでいるという説です。
これらの果実には塩分の排出を促すカリウムが多く含まれており、塩分不足になりやすいのではと推測している人もいます。
また、冬はどんぐりを主食としていて、食性が変わることで海水を飲む必要がなくなるのではないかといわれています。
山地では塩分を含む温泉水を飲んでいる姿を目撃されていることからも、塩分を補給するためというのが現在最も有力な説とされています。
繁殖期との関係
キジバトやカワラバトをはじめ、ハト類は子育ての際に体の中でピジョンミルクと呼ばれるものを作り出し、それを雛に与えます。
海水を飲みに行く時期がちょうど子育ての時期と重なるため、ピジョンミルクを作ったことが原因で必要な栄養が足りなくなるから補給をしに行くという説もあります。
ただ、同じくピジョンミルクを与えているキジバトやカワラバトは海水を飲んだりはしません。そのため、この説はあまり評価されていないようです。
まとめ
アオバトはその美しさと荒れた海でも海水を飲みに来るたくましい姿で人気の鳥ですが、生息数は多くないため生態についてはまだ解明されていない部分も多いようです。
世界的にも珍しい習性である「海水を飲む」理由が解明される日が待ち遠しいですね。